生で作品をみるのが久し振りで、まだまだ言葉と思考のリハビリ中ですが、思ったことを書いていきたいと思います。
まずは両日のプログラム構成や、作品の合間に換気というリセットタイムが設けられたことなど、興行として観劇しやすかったなという印象があります。
実際に他の方からも「これまで見てきたコンペと比べて見やすかった」という意見をぽつぽつと聞きました。
一日目のトップは長谷川寧さんのVRと身体、コミュニケーションなどを題材にした作品。
長谷川さんは若手の発掘、育成というには国内外で活躍しすぎている部分があるのかもしれません。
それでも挑戦する心意気は凄いし、なかなか取り組みにくい先端技術に挑戦するというのは素晴らしいと思いました(お金もかかるし)
観る側はそれなりにあっさりと出来上がった作品を受け入れますが、VRを使ったクリエーションがどれだけ大変であるか、正直想像したくもありません。
作品自体は初演ということもあり、今回の上演を経てさらに磨かれていくだろうなという印象でした。
2番手は小野彩加さん・中澤陽さんによる「バランス」。
力学などをもとに身体を、そしてダンスを探る作品のような印象です。
タイトル通り、動きにもバランスは当然あるし、二人のダンサーの関係性のバランス、演者と観客の間にあるバランスなどを想起させられます。
素直に言ってしまえば玄人好みの作品だと思います。
起承転結のような起伏がほぼ感じられないので、ダンス作品をあまり観賞していない人には「私は何を見せられているの?作品の良さが全くわからない」という印象をもたれやすいのではないでしょうか。
けれども、ダンス作品(または舞台芸術作品や現代アート作品)をそれなりに見ている人の場合はまた印象が変わってくるかと思います。
まず何よりストイックさが伝わってくる作品で、ダンサー二人は淡々と動き続けます。
僕なんかはしょうもないので、「おどり研究所」に自分が迷い混んで、「これは踊り、これは踊りじゃないかもしれない、ここからここは踊りかもしれない」みたいな研究をし続けている様子を眺めている、みたいな妄想しながら観ていて。
長谷川さんの作品はアーティストからの問いかけ、観客へのアプローチが強めの作品なので、次にこういう作品をもってきてもらえると、まぁ自分の思考は程よく進みますよね。
そこもバランスなんですよね。
ダンサーにとっては過酷な作品だと思うので、ベストダンサー賞の受賞は理解できるところでした。
最後に奨励賞を受賞した松木さん。
彼女の作品を観るのは去年に続いて2回目で、神話をモチーフにしたドラマティックな作品という印象です。
彼女の場合は世界観や音楽、踊りなどのセンスがよく、全体的にかっこよさを纏っていましたし、最後のギャップも印象に残っています。
昨年は東野祥子さんが作品の監修をしていたこともあり、松木さんご自身も ANTIBODIES Collectiveのメンバーとして活動されているということで、よい意味で影響を受けていたり継承している部分があるのかなと感じます。
一方で演出面ではまだ伸び代があるという印象で、昨年は講堂全体を使った演出が非常によかったですが、舞台に置いた時の完成度というのはまだ上げられる気がしました。
これから再演を重ねたり、人々の目に触れていくことでもっと良くなっていくんだろうな、という印象です。
ということでそれぞれの作品の順番も良く、三作品がトリプルビルとして成立していました。
ふぅー
久し振りに作品の感想を書いたんですが、何だか凄い疲れました。
感想というより、そこで何が起きていたかのレポートに近いでしょうか。
二日目のことは果たして書けるのか。
つづく…かも
作品が気になった方は、まだ下記より18日くらいまで視聴できるようです。
■チケット取扱
<配信視聴チケット>Confetti(カンフェティ)https://www.confetti-web.com/kca
<劇場鑑賞チケット&KYOTO Meeting 2020> https://bit.ly/3npPO2B