Report:OrganWorks「HOMO」

OrganWorksというダンスカンパニーは小さな社会を形成している。
このカンパニーのはじまりは、公演ごとに作品のイメージに沿ったダンサーを集めるプロジェクト形式で始まったが、徐々にメンバーを固定するようになっていく。
最初はどういう基準でメンバーを選んでいるのかイマイチわからなかったが、なるほど、ダンサーの見た目や踊りの統一性ではなく、逆にバラバラな身体性、背景、個性を重視しているのだと。

そういったメンバー達と、長い時間をかけて創作を重ねることで身体的なニュアンスへの理解が深まっていく。
つまりは各自の踊りの出自・文脈・テクニックは微妙に違うのだけれども、ニュアンスで一致する。
これによって個が浮き立ちながらも、集団として同じ方向性につき進めるのだな、と。
 
 
80分。
HOMOの上演時間である。

これだけの時間を、一つの世界観だけで最初から最後まで構築できる振付家は何人いることだろうか。
一部40分、休憩挟んで二部40分という形式ではなく、80分にわたって一本の物語を紡ぐ。
平原慎太郎の振付家としての成熟と、ダンスカンパニーとしての成熟が重なったことで辿り着けた境地ではないだろうか。

平原作品=言葉というイメージを持っている人は多いと思うが、本作では言語をよりプリミティブな(原初的な、原始的な)形に変換し、音や歌を用いていた。
これによって、より身体で物語るという行為が鮮明になったのではないだろうか。

ヒトの古代、現代、未来をひとつの箱庭に詰め込んで、反応や変化を眺めるかのような「HOMO」
コンテンポラリーでありながら、クラシックでもある。
舞台上に散りばめられた半端ない情報量は、1回見ただけではとても楽しみ切れない。
舞台芸術ならではの手法、ダンス作品でしかありえない楽しみ方がこの作品には存在している。

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