Sapporo Dance Dialogue出演者紹介・作品紹介

2024年9月21日に札幌の小劇場ターミナルプラザことにPATOSで「コミュニケーション」をテーマとするダンス作品を上演します。
公募によって集まった6組の振付家を紹介していきます。

ダイアローグとは日本語で対話。
作家とスタッフとの対話、作品と観客の対話、社会との対話。
様々な対話を生みながらダンス作品を発信していく機会になります。

具体的には
・どんな作品を作っていきたいかを事前に発信
・作品作りの過程の公開
・創作段階における対話の機会を創出
・上演時に観客との対話の時間を設ける

それぞれが孤立することなく、それぞれの立場で作品や身体表現に向き合うような機会とすることで、それぞれの立場での気づきや学びがあるのではないかと思います。
是非、何らかの形で関わっていただけますと幸いです。

公演概要

西区文化フェスタ2024
「Sapporo Dance Dialogue 2024」

作家:岩本伊織、平尾拓也、タイラハルカ、杉村美緒菜、山崎彩美、矢藤智子
SDD事務局:森嶋拓(CONTE Dance Production)堀内まゆみ(一般社団法人CHORA)矢藤智子
トーク進行:SDD事務局

会場:ターミナルプラザことにPATOS
日程:2024年9月21日(土)
時間:開場18:00 開演18:30
料金:予約 1,900円(学生1,000円) 当日券 2,000円
定員:60名を予定、予約で完売の場合は当日券の販売はなし

予約:https://forms.gle/VLBpZeNqT5uMn7u89

問い合わせ:dance@conte-sapporo.com / 08055910098(森嶋)

主催:札幌市西区役所、西区文化フェスタ実行委員会、北海道コンテンポラリーダンス普及委員会
共催:Art Dialogue 実行委員会、一般社団法人CHORA、CONTE Dance Production

岩本伊織

2002年生まれ。
3歳よりクラシックバレエ、小学1年生よりストリートダンス(HIPHOP・JAZZ)を習い始める。
中学生からコンテンポラリーダンスに興味持ち、道外の公演などにも積極的に参加。
2021年7月東京オリンピック開会式出演。
現在は札幌を中心に、コンテンポラリーダンスに関わる公演に多数出演。

つくりたい作品:

 「組み合わせる」をテーマに、和太鼓奏者と、もう1人ジャンルの違うダンサーと、3人で作品を作りたいと思っています。
最近、振付家の養成講座を修了してから、ダンス作品を作りたいなと思いながらも、周りになかなか同じ年くらいの子がいないのが悩みでした。
そんな時、高校生の和太鼓奏者の子と知り合い、今回、その子と一緒に作品づくりをしたいなと思いました。
音の鳴るものを探しにいろいろなところへ行ったり、新しいものを見つけたり、そうした発見と出会いを重ねながら、作品づくりをしていきたいです。
自分ができないジャンルのダンサーも探したいと思っています。

「コミュニケーション」とは?:

ダンスを踊る時、以前は自分ばかりが「発信」していましたが、あるワークショップを受けた時から、他の人の動きを見て、受け取りながら動くことの大事さを知りました。
大学で学んだ演劇でも、相手のセリフを受けてから、話す。
この循環が大事なんだなと。自分一人だと、自分のことを知り尽くしちゃって、予想がついてしまうので、他者とコミュニケーションしながら何かが「引き起こる」ということをやってみたいです。

平尾拓也

1994年生まれ。
札幌市出身。身体の在処に関心を持ち、大学時代にパフォーマンス・アートを始める。
その後、田仲ハル率いる舞踏集団「極北会」に所属し、道内各地の公演に参加する。
自らも作品制作を行い、近年は俳優と共同での創作を行っている。
2022年に天神山アートスタジオで行った「わたし、と、ぽぽばび」や、2023年にNaebonoアートスタジオで行った「ドーナッツ・リフレイン」などがある。

つくりたい作品:

武満徹が作曲した『ぽつねん』という歌から着想を得て、「孤独」をモチーフの一つとして作品を作りたいなと考えています。
大学卒業後、ワーキングホリデー のためにお金を貯めようと長野・東京で働き、その後ようやくベルリンへと辿り着きました。
この過程で、さまざまな人の孤独に触れたように思います。
他者の孤独に触れることで、自分自身の孤独にも気づき、それ以来、人の孤独について関心を高めました。

作品には、言葉の力も借りたいと考えています。
「孤独」に関してもう少しアイディアが欲しいと思っているので、いろんな人とディスカッションしながら、作品づくりを進めていきたいと考えています。

「コミュニケーション」とは?:

普段「コミュニケーション」という言葉を聞いたとき、なにか対等な、「対話」を行うことのできる関係性、というものを個人的に想起します。
しかし、「対話」を図ることが難しい人とのコミュニケーションとはなんだろうということが、関心事としてあります。
作品をつくってみることを通じて、コミュニケーションの可能性・不可能性を探っていきたいなと思っています。

photograph 大滝 恭昌

タイラハルカ

2001年生まれ。
4歳よりクラシックバレエを習う。
2009年より舞踊家、能藤玲子に創作舞踊を師事。
札幌国際情報高校卒業後、アメリカに留学。
4年間の在学中4回の大学主催ダンス公演に出演。
22-23年のイギリス留学中にCDS(Creative Dance Space) 主宰、初の群舞作品を創作、公演。
23年12月大学卒業、24年1月帰国。
24年6月、能藤玲子の指導のもと初のソロ作品を創作、公演。

つくりたい作品:

性悪説という主張、人が生まれながらにもつものが『悪い』、とは何を意味するのか興味があり、これをテーマに作品を作りたいと考えています。善悪というものはレラティブ(相関的)で、誰しも人として他人と関わる以上、自分が悪役なのではという思いがよぎることがあると思います。一方、AIが発達していく世の中では、今後善悪という概念自体がなくなっていくのではないか、という思いもあります。

作品づくりにおいては、衝動的な感情を大事にしたいと考えていて、感情と強く繋がる動きを中心につくりたいなという思いがあり、その一瞬のエネルギーを捉える彫刻作品たちから得たインスピレーションを主軸に作品作りをしていきたいと思っています。

 

作品をこんな風に見て欲しい:

観客と演者の関係性を考えるにあたって、私は「作品って、いつ見終わったことになるんだろう?」と考えることがあります。
例えば美術館にいって、有名な絵画を見て、これをいつまで見ていたら、見終わったことになるんだろうと。
絵を描いたその人が、その絵にどのくらいの時間をかけたのか、見る側は考えなくても良いのだろうかと思ったり。
でも心が一瞬で、つかまれる絵もありますよね。
そういう作品って美術館を出た後まで心の糸が繋がっている感じがします。
作家の印象として、タイラハルカはこういう感じなんだな、というのを見て欲しいなと思っています。

杉村美緒菜

1995年生まれ。
北海道教育大学岩見沢校 音楽文化専攻卒業。
音楽教師免許取得。
コンテンポラリーダンスを中心に道内外の様々な舞台で活動。
ダンススタジオLoReで年に2回ほど作品を発表している。
また放課後等デイサービスで音楽療育やダンスを通じて、障がいを抱える児童の発達支援を行っている。

つくりたい作品:

「僕を探しに」という絵本を手がかりに、自分探しをする等身大の私をテーマに作品をつくりたいと考えています。
実は、これまでは、「別の誰かになりきって踊る」ということが多くて、そういうやり方で作品を作ってきました。
演じる人物のキャラクターや行動をどこか客観的に見ているような。
でも最近では、自分そのもので表現するということをやってみたいと思うようになりました。
やったことがないチャレンジなので、まだわからないのですが、自分自身と向き合うことで何か良い変化があるような気がしています。 

いつも作品を作る時は全体のストーリーづくりをしてから始めるので、今回も大まかな流れは決めています。
細部はこれからという感じですが、絵本の中で、主人公のキャラクターが、自分自身の「かけら」を探して旅に出るという設定があるので、この「かけら」が何か、探しに行けたら良いなと思っています。

「コミュニケーション」とは?:

人との関わりだと思いますが、例えば言葉を使わなくても、目が合って、互いに笑い合うだけでも十分コミュニケーションだと思います。
職場で上手に喋れない子や言葉の理解がゆっくりな子を沢山見てきたのですが、その子たちと関わる時は目の色や雰囲気を見て気持ちを汲み取ることが多いです。
言葉以外の方法で気持ちを発信する人、それを受け取る人。
人と人は言葉を使わなくても目線や動作だけで心を通じ合うことができると思っています。

山崎彩美

1997年生まれ。札幌市出身。
北海道大学理学部卒。4歳からバレエとチアダンスを始める。
学生時代はプロスポーツ専属のチアダンスチームに所属、9年間芝生の上でパフォーマンスをする。
21歳でNYへ短期留学し、コンテンポラリーダンスに出合う。
帰国後、札幌を中心に全国各地を巡って踊りを学びつつ、ダンサー・インストラクター・振付家として活動中。

つくりたい作品:

最近出演した演劇で、ストレートに怒るというシーンがあって、普段の自分ではやらないことだったので、少し羨ましく感じました。
朝ドラの「虎に翼」の主人公も、先駆者、切り開く人で、他者から怒りを買ったり、これに怒ってると伝えたり、そんな風に、ちゃんと怒れる人っていいなと思った時に、怒りに向き合って見たいなと思うようになりました。
踊りならできるかなと思って。

まずは怒りを表に出してみたい。表に出すことで、もしかすると、怒りが”ツール”になるのかもしれないな?と思っています。
言わないと、他人には伝わらないという。他人との関係性や、コミュニケーションの変化に繋がるかもしれないなと思っています。
ソロを自分で作るのはこれが初めてなので、いろいろな人と話しながら作っていきたいと思っています。

「コミュニケーション」とは?:

今回は「自分自身とのコミュニケーション」という点で考えたいのかもしれません。
自分ができること、自分に変化を起こすために”怒る”という手段を使えるということを考えると面白いのかも。
自分に対して「お前は誰なんだ」「まだもっとできることあるだろう」と、自分自身に話しかけたい。

矢藤智子

1979年生まれ。広島市出身。コンテンポラリーダンス合宿をきっかけに身体表現を模索しはじめる。近藤良平、多田淳之介作品などにダンサーとして出演。2020年より作品制作を開始しソロ作品を発表。同年秋、札幌市に移住。舞踏公演等に出演し、2023年には単独ソロ公演と振付作品公演をおこなう。2015年Sivananda yoga TTC、2024年Tri yoga basics TTCを修了。

つくりたい作品:

「観客が振付する」作品を考えています。
ダンスが作品になるときに必要な要素とはなんだろう?そもそも振付とはなんだろう?
そんな疑問を、舞踊史や芸術思想の個人的な学びをベースに実際のパフォーマンスへのアプローチにしていけたらと思っています。

そして現在進行形での学びをnote(https://note.com/tomoko_yato/
で公開することも予定しています。

…と、いいつつまだ(2024年8月なかば時点)白紙ですが…Sapporo Dance Dialogueの企画趣旨でもあるプロセス=創作過程がそのまま表現となるようなそんな作品を目指しています。

「コミュニケーション」とは?:

コミュニケーションときいて思い浮かぶのは自分との繋がりや関係性そのもののことで、それは人間に限らず植物から物質や環境など、目に見えるものから見えないものまですベてを含むという感覚があります。

Sapporo Dance Dialogue事務局

Producer
森嶋拓(CONTE Dance Production)

「作品を気軽に発表できる場が少ないという声をよく聞いていたので、堀内さん、矢藤さんと共に場を創ってみました。この企画をきっかけに作家としてのキャリアをスタートさせたり、すでにスタートしている人はさらなる飛躍のために利用してもらえたらと思います。公演の制作業務を中心に、企画全体に関わることになると思います。」

 

Program Manager
堀内まゆみ(一般社団法人CHORA)

「劇場舞踊という形が生まれて、どれくらいの年月が経ったのでしょうか。舞台芸術の世界に20年近くいて、身体文化の重要性について実感するとともに、舞台の上のダンスは一部の人を除いてちょっと遠い世界なのかな、と感じることもありました。でも同時に、身体を通じてしか叶えられない世界があったり、誰かの踊りを見ることでしか気づけないこともある。そういうことを、もっと多くの人と共有したい。ダンサー、観客という垣根を超えて、みんなでダンス作品を共有したい。そんな思いを一緒に持ってくださる方を、ぜひサポートしたいなと思いました。」

 

Dance Manager
矢藤智子

「ダンスを作品として観ることはかつてのわたしにとって縁遠いものでした。でもはじめは観客として、さらに作り手を目指すようになり、ダンスに触れ続けていたら自然と世界が広がってきたんです。舞台芸術はたくさんの関わりのなかで育まれていくものだからかもしれません。この企画のなかでわたしは作家・出演者の立場にたちつつ、ダンサー、制作、観客すべての目線で境界なくダンスと関わる方々と時間を共有しサポートできたら嬉しく思っています。」