コンペティションの必要性を問う/Kyoto Choreography Award 2020 前編

コンテンポラリーダンスのコンペティションは必要なのか?

札幌プラットフォームとして2年続けて参加した「ダンスでいこう!」の最終プログラムである報告会、ダンスミーティング、Kyoto Choreography Awardが無事に終了しました。

 

ダンスミーティングでは「いまこの時期・時代にコンテンポラリーダンスのコンペティションが必要なのか」という議論がありました。

僕は以前のオンラインミーティングで「若い人はアワードを必要としているのではないか?」という肯定的な発言をしたのですが、皆さんの意見を聞いているとなるほど、そういう考えもあるかと視野が広がりました。

確かにいま必要なのはコンペティション/アワードなのか。
それは人によっても違うし、ある意味では必要といえるからKCAことKyoto Choreography Awardはこれからも続くのでしょう。
ただ一方でコンペティション/アワードではないものの必要性も浮き彫りになった気がしました。

 

実際にこのKCAは応募数は公表されていないので正確な数の公表は差し控えますが、非常にたくさんのエントリーがあり、書類選考・映像審査もなかなか大変でした。
20代の若手もいれば、すでに他で評価されていて若手とカテゴライズしにくい振付家もたくさんいました。

選ばれた6作品は方向性やキャリアがうまくばらけていたように思います。

様々な表現に出会えたトリプルビル

コロナのこともあって、生で作品をみることが久し振りでした。
両日のプログラム構成や、休憩(換気)のとり方の工夫があって、観劇しやすかったなという印象があります。
他の方からも「これまで見てきたコンペと比べて見やすかった」という意見をぽつぽつ聞きました。

 

一日目のトップは長谷川寧さんのVRと身体、コミュニケーションなどを題材にした作品。
長谷川さんはすでにキャリアのある作家ですが、果敢にKCAに挑戦されていました。
テクニカル的な問題があったようで、作品を通してやりたかったことができなかったようで残念ですが、個人的には狙いやプロセスは面白いと思った作品でした。

 

2番手はスペースノットブランクの小野彩加さんと中澤陽さんによる「バランス」。
北海道ではなかなか見られない作風で興味深く拝見しました。
動きのバランス、ダンサー感の関係性のバランス、演者と観客の間にあるバランス。
淡々と、少しずつ変化していきました。
ベストダンサー賞を受賞されました。

 

3組目は奨励賞を受賞した松木さん。
彼女の作品を観るのは去年に続いて2回目で、神話をモチーフにした作品だったかと思います(違ったらごめんなさい)
重厚な世界観と音楽が印象的で、かっこよかったです。

昨年は東野祥子さんがこの作品の監修をされていて、松木さんご自身も ANTIBODIES Collectiveのメンバーとして活動されているそうで、よい意味で継承している部分があるように感じました。

 

それぞれの作品の順番も良く、トリプルビルとして見応えがありました。
作品が気になった方は、まだ下記より18日くらいまで視聴できるようです。

■チケット取扱
<配信視聴チケット>Confetti(カンフェティ)https://www.confetti-web.com/kca
<劇場鑑賞チケット&KYOTO Meeting 2020> https://bit.ly/3npPO2B