久しぶりのダンス公演
前回はこれまでの経緯などについて少し書きましたが、今回は作品の中身について書いていきたいと思います。
冒頭のシーンはそれぞれの顔が隠れていて見えないので、否が応でも各自の身体が浮き上がってきます。
新型コロナウイルスの蔓延とか、それに伴う今のコミュニケーション不足をなんとなくイメージしてしまうシーンでしたが、山田せつ子さんの素顔が見えた時に人間の表情が持つ強さを強烈に感じてしまい・・・
「あぁ、久しぶりにダンス公演に来たんだな」と感じた一瞬でした。
踊りと自分との距離
作品内容は、各自のソロパートに櫻井ヒロさんがナビゲーターのように言葉を発しながら絡んでいく流れで、それぞれの人間性が浮き彫りになりました。
堀内まゆみさんは動きも言葉のトーンも淡々とペースを変えず、しかしながら徐々に熱を帯びていく様が良かったです。
櫻井ヒロさんが途中で舞台に入ってきて、関係性が生まれた瞬間に空気が一気に変わってたのが印象的でした。
大森弥子さんは内と外、インとアウトのバランスが良くて。
動き、躍動、身体の外の空間、ターンアウト。
身体からあぶり出る情感、体の内側の豊かさ。
身体の内外のエネルギーのバランスが整っていました。
河野千晶さんはひょうひょうと衣裳や靴下の話や、髪型の話をして。
自分の世界にうまく連れて行きます。
観客とのコミュニケーション力の高さが彼女の強みでもありますよね。
櫻井ヒロさんは何ていうか、ある意味では倦怠期でもあり、ある意味では充実期に突入したのかなぁと思ったり。
踊り自体はとても自然体でしっくりくるんですよね、狙った感じがないというか。
けど、踊りじゃなくてもいい、みたいな感覚も同時に芽生えているかのような、そういう気持ちは僕は個人的によくわかるんですけど。
なんというか、自分には踊りしかない!
とどんなに想っていても、その気持ちにも終わりは来るんですよね。
自分には踊りしかない!という言葉の中には実際にはいろいろな意味が込められているんですよね。
そんな踊りと一定の距離をもったヒロさんが媒介となって、各自の踊りに出会う一日でした。
こういう公演もいいですよね。
札幌の幅です。
とても興味深いお話です。情景が目に浮かぶような感じがしました❗️書き手の力量でしょうか❣️☺️